「消毒液も品切れ」相次ぐ

「消毒液も品切れ」相次ぐ 転売も…生産工場で何が?

2020年2月17日 月曜 午後7:16

気になるニュースの疑問をひもとく、「はてな」。 13日は「ウイルス対策」。

今、ドラッグストアの売り場から消えているもの。

それはマスクだけではない。

20代女性「除菌のジェルが全く売ってなくて。それは困った」

60代女性「消毒液も売ってないし」

手や指を消毒するアルコール消毒液も売っていない?

17日、都内のドラッグストアでは、マスクとともに消毒液も棚は空っぽで、品切れの貼り紙が。

薬局店長「消毒液は今、全く入ってきてないですね」

20代女性「(薬局)3軒目です。本当になくて痛感しました」

国内でも新型コロナウイルスの感染が広がる中、重要な予防アイテム「消毒液」が買えないという現実。

30代女性「常に手洗いに行けたりするわけじゃないから、何かしら持っていたい」

生産現場では、一体、何が起きているのか。

取材班は「消毒液工場」へ。

工場長「非常事態。受注量は通常の10倍ほど」

正しい消毒液の選び方と使用方法とは…。

取材班が17日、向かったのは三重・松阪市にある消毒液の生産工場。

この工場では、「手ピカジェル」で知られるアルコール消毒液などを生産。

箱詰めされた商品を次々と積み上げていた従業員に声をかけると。

女性従業員「今までとは比べものにならないくらい忙しい。土曜日と祝日は出勤している」

稼働時間を2倍以上に増やし、休日返上で増産中。

なぜ、ここまでの事態となっているのか。

健栄製薬松阪工場・八木敏光工場長「通常の10倍ほど受注いただいている。インフルエンザ+新型肺炎が重なった状況で、非常に出荷量が多い。大変です…」

普段の生産量が1日に5万本ほどのところ、現在は、およそ10万本にまで増産しているが、生産は追いついていない状態。

在庫が積まれているはずの倉庫にも商品はなく、がらんとしている。

マスクに続く消毒液不足を受け、フリマサイトでは、通常1本1,200円ほどの手ピカジェルが、3本で9,480円と3倍近い高値が。

メーカーも買い占めと高額転売には頭を悩ませていた。

健栄製薬松阪工場・八木敏光工場長「妊婦さんや小さいお子さんをお持ちの方などは、アルコール消毒がないのは死活問題。高額転売や買い占めはできるだけ控えてもらいたいというのが、メーカーの切なる願い」

消毒液の品薄状態が続く、都内のドラッグストア。

店には続々と、在庫があるかと探しにくるお客さんが。

20代女性「(消毒液が)全然売ってなくて、出てもすぐ消えちゃうという現状」

売り場には“除菌”などと書かれた商品が並んでいるが…。

ヨコタ薬局・横田秀実さん「(この商品の用途は?)人が触るところ、手すりとかノブの消毒用に使ってもらえれば」

その多くは、家庭で家具や家電、おもちゃなどの除菌を目的とした商品で、手や指用の消毒液ではない。

お昼すぎには納品の業者が到着したが…。

ヨコタ薬局・横田秀実さん「(消毒液の入荷は?)ほとんどないですね」

以前から、生活の中で何気なく使っていたアルコール消毒液。

30代女性(子ども6歳)「(子どもが)いろんなもの触ってくるし、心配ですね」

子育て世代からは、いろいろなものを触ってしまう子どもたちのために普段から愛用していたとの声が。

そんなママさんたちが気にしていたのは…。

30代女性(子ども0歳)「(消毒液)やって意味なかったらしょうがないので、ちゃんと(消毒液の使い方)調べておいた方がいいんですかね?」

そこで取材班は、アルコール消毒液の効果的な使い方を聞くために、池袋大谷クリニックへ。

正しい使用法を実践してもらった。

池袋大谷クリニック・大谷義夫院長「手のひら、手の甲、指の間、爪ですね」

消毒液は、手のひらや手首にまで、まんべんなく伸ばせる量を使うのがポイント。

手首や爪にもしっかりとすり込み、15秒ほどかけてなじませるのが理想。

さらに、量だけではなくタイミングも重要。

池袋大谷クリニック・大谷義夫院長「家の中にウイルスを持ち込まないという点では、外から帰ってきたら玄関の外でアルコール消毒をする」

また、外出先での消毒も重要。

電車のつり革や手すりなどは、ウイルスや菌が付着しやすいため、そうした場所を触ったあとにも消毒するのが大事だという。

そうした消毒液の使い方とともに知っておきたいのが、消毒液の選び方。

30代女性「(消毒液)全部一緒な感じしない?」、「(どれを選んだらいいのか)わからないけど、一番安いのだと怖いので」

そこで、東北大学大学院の川上和義教授に、今回の対策として、どのような消毒液を選べばいいのか聞いてみた。

東北大学大学院 医学系研究科・川上和義教授「まずは成分に注目していただきたい。(ウイルスの表面の)油の成分がエタノール(アルコール)とか、石けんに含まれる界面活性剤とか、そういったものに弱いというのが特徴。消毒用エタノールの選択が一番望ましい」

商品裏面の成分表示にエタノール使用とあるものがオススメ。

“逆性石けん”などと呼ばれる「ベンザルコニウム塩化物」が主な成分となっている消毒液もあるが、こちらは、まだ新型コロナウイルスに有効かどうかわかっていないという。

とはいえ、今、街ではなかなか手に入らず、もはや幻の商品となりつつある消毒液。

50代女性「消毒液とマスクが全然売ってない」

全く手に入らないという場合は、どうすればいいのか。

東北大学大学院 医学系研究科・川上和義教授「液体石けんを用いた正しい手洗い。第一にこれを考えていただきたい。固形石けんだと、多くの人が使っている可能性があるので、何が付着しているかわからない可能性がある。ポンプ式の液体石けんを使うのがよろしいかと思います」

さらに、手を拭く際は、タオルの使い回しは避け、使い捨てのペーパータオルを使うのがいいとのこと。

東北大学大学院 医学系研究科・川上和義教授「マスクに頼るよりは、しっかりと手洗いする方が、より確実に予防できるだろうと思います」